2017-11-29

日記20171129

アフリカのスラムのような、バラックの長屋に部屋を間借りして住んでいる。狭くて汚いがどこか居心地が良い。

部屋でなにか考え事をしていると、部屋を訪ねてくる人がいる。ドアを開けると、初老の紳士が立っている。「お久しぶりです」と言っている。

初めは誰か分からなかったが、すぐに思い出した。いつかの夢の中で、いつかこの場所で出会った人だった。
夢の中で会った人に、また夢の中で再会できるとは思っていなかったのでとても嬉しかった。しばし、映画や文学の話で盛り上がる。

紳士は、同じ長屋の別の部屋に住んでいた。自分の部屋より更に狭い。案内されて部屋に入るとすぐのところに和式の便器がある。奥のドアを開けると今度は洋式の便器がある。紳士の家は便所そのものだった。

2017-11-17

日記20171117

深夜、飲みすぎて電車の中で眠り込んでしまい、自宅から徒歩1時間程度の距離にある、今まで一度も降りたことのない駅で終電を逃す。
歩くにはそこそこ面倒な距離だし、ここはリッチにタクシーで帰ろう、と思ったが、飲み屋で金を使い果たしたらしく、所持金は1円も残っていない。

駅前に役所がある。
ここでバイトを斡旋してもらい、さくっと手に入れた給料でタクシーに乗ろう、と画策する。
役所に行くと、首尾よくゴミ拾いのバイトにありつくことができた。ポイ捨てされたゴミを回収する、という単純明快な軽作業である。町に落ちているゴミの袋を3つ拾ってくれば終了とのことで楽勝と思われた。

早速、バーコードスキャナーを手渡される。落ちているゴミの袋に付いているバーコードをスキャンするため、とのこと。
ゴミは一意のバーコードによって管理されており、拾った数を誤魔化せなくなっている。こんなところにもハイテク化の波は及んでいたのであった。改めて町をうろつくと、なるほどバーコードのついたゴミ袋がたくさんポイ捨てされている。

こりゃ楽勝だ、と思って一つ拾おうとすると、別の人にさっと拾われてしまった。気を取り直して別のゴミを拾おうとするも、また別の人に眼前で奪われる。
ゴミは沢山あるのだが、自分と同じく終電難民と思われるインド人やタイ人たちに、もどかしいくらい寸前で拾われてしまい、何度拾おうとしても全く上手くいかない。しばし同業者たちの俊敏さに圧倒されていた。

こうしてゴミを一つも回収できないまま、知らない夜の町をスキャナー片手にいつまでも彷徨していた。家に帰れるくらいの距離はとっくに歩いた気がする。